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メンタルヘルス通信
64号 「30年間講師活動を続けてきて最近気づいたこと」
<30年間講師活動を続けてきて最近気づいたこと>
「講師は滑舌も良く、内容も具体的で分かりやすい。ただ、現場で使えるかどうかはわからない」こんな受講生のアンケートを目にすることです。
せっかく貴重な時間を使って行われた研修が、現場で生かされていない状況が窺えます。
例えば、職場でのコミュニケーションの希薄から人事研修係は「自己表現(アサーション)」の研修を導入しました。受講生のアンケートは、「よく理解できた」「まあ理解できた」の結果を合わせると、高い評価でしたが、「職場で役に立つ」、「現場で使える」、といった回答は、40%を切ってしまうという結果が出ました。そこで、ある事例を見ると、部下Aさんはミスをして上司Bさんに頭ごなしに貶められ気力を失っている場合、部下Aさんは、自己表現の研修に出ても、その後職場では一向に状況は変わっていないことになります。部下Aさんは不満な気持を上司Bさんに伝え返したくても、途中であきらめてしまうそうです。そこには「どうせ言っても無駄だ」という考えが先に立ってしまい、また一方で、上司は「いちいち聞いていられない」、「悩んでいる暇などない」と言います。
こういった現実を踏まえると、講師にはもう一歩踏み込んだ、現場に見合った研修が求められます。そのためには、実際の場面を想定して上司と部下のやりとりの仕方に充分時間をかけ、相互交流を実現させることです。相互交流によって信頼関係を醸成し誤解や防衛を解いていくような人間関係を作り、社員一人一人の士気を高めていくような研修を目指しています。
東京メンタルヘルス 代表 武藤清栄