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メンタルヘルス通信

91号 「パワハラ転じて福となりますように」

本号特集「パワハラ転じて福となりますように」<メンタルヘルス通信 No.91>

本年最後となりましたメンタルヘルス通信は、パワハラ防止義務の法制化の動きなど、
今秋以降のメンタルヘルス関連のトピックを、簡単に振り返ります!

メンタルヘルス通信は、イントラネットへの掲載やプリントアウトしての配布など、
従業員の皆様へのメンタルヘルス啓発活動などにご活用ください。

【PDF版】

メンタルヘルス通信_第91号(PDF)

【テキスト版】
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NO.91 「本号特集「パワハラ転じて福となりますように」
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本年最後のメンタルヘルス通信では、この秋以降 のメンタルヘルスに関する大きなトピックをいくつかまとめてお伝えします。

<<パワハラ防止義務、初の法制化へ>>

厚労省は12月14日、労働政策審議会に職場のパワーハラスメント対策に向けた報告書を示し、了承されました。
これにより、2019 年の通常国会で労働 施策総合推進法を改正し、防止規定を盛り込む方針です。
具体的内容は今後の指針で示されることとなりますが、下記の内容などが盛り込まれる予定です。

1 パワハラの懲戒規定を設け、社内周知や啓発を行う
2 パワハラ相談窓口の設置

3パワハラ社内調査体制の整備

4 パワハラ相談者や行為者のプライバシー保護
勤務間インターバル制度との、仕事を終えてから次に仕事を始めるまでに、一定の休息時間を確保する制度。 過労死防止の切り札として期待されている。

セクハラ、マタハラに続いての法制化となりますが、社会の流れは確実にハラスメント防止強化へと向かっています。
ただし、何でもかんでもパワハラというわけではありません。「業務上適正な範囲内の指導」はパワハラではありません。
ハラスメントに神経質になり過ぎることなく、社内の風通しをよくし、パフォーマ ンスを維持・向上していきましょう。

<<勤務間インターバル制度>>

すでに欧州では、1993 年にEUのルールとして、勤務間インターバルを「11時間」と義務づけています。
例えば、残業して深夜0時まで勤務した場合、会社の始業時間が午前9時であっても、次に働き始めるには 11時間のインターバルをとらなくてはならないため、働けるのは午前11時からとなります。
なぜインターバルがことさらに重要かというと、労働者の健康維持のためには、睡眠時間確保を土台とした休息時間が何よりも必要であるためです。
厚労省は12月4日、有識者検討会で、この休息時 間を「8ー12時間」と例示するなどとした報告書をまとめました。
その中では、来年4月から勤務間インターバル制度導入の努力義務を企業に課すことが盛り込まれました。

努力義務ではありますが、是非多くの企業でこの制度を導入し、働く人々の心身の健康が増進することを願うばかりです。
また、制度導入に頼らずとも、個々人のセルフケアとして、「最低でも11時間のインターバルをとろう!」と心がけ、実行していくことが重要です。

<<初の国家資格、公認心理師>>

2015 年の法律でカウンセラー初の国家資格が創設されました、公認心理師です。
その第1回の試験が この秋にあり、11月30日に合格発表がありました。
35,020 人が受験し、合格者は27,876 人、合格率 79.6%でした。
合格者の 75%は女性でしたが、今回の試験は現任者対象であったため、年齢別では31-40才が約1万人と多くを占める結果となりました。
今後ますます重要性が増す「こころのケア」を担 う人材として、その活躍が期待されています。

<<災い転じて福となるように>>

毎年恒例の今年の漢字は「災」でした。
「災」が選ばれたのは、2004 年以来の2回目とのことですが、北海道や大阪北部の地震、西日本豪雨や台風、記録的猛暑などを反映してのことだそうです。
「災い転じて福となす」を切に願います。

筆者が、今年最も多くつぶやいた言葉は、「正論は 正しい、だが正論を武器にする奴は正しくない」こ のセリフは、有川浩さんの小説『図書館戦争』に出てくるものです。

今年1年パワハラの研修や相談に多く対応してきました。パワハラ防止における大きなテーマは「怒り」です。
怒りが暴走することで、パワハラに陥りやすくなります。なぜそうなるのか?を考えていくと、ひとつの答えとして「私は正しい! お前は間違っている!」という姿勢が関係しているように思われます。
こうなると、相手の言い分に聞く耳がもてなくなり、一方的に相手を責めたてていってしまい、言葉の暴力になりかねません。「正しさ」は、実は取り扱いが難しいものでもあるのです。

詩人の谷川俊太郎さんは、「反対意見を言われて “私がまちがっているのかもしれない”と思うのは、 “私は正しい”と思い込むのより健康で建設的です」と言っています。パワハラの根本的な解決のヒント は、こういったところにあるようにも思います。

新行内勝善(精神保健福祉士、 ハラスメント防止コンサルタント)


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