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メンタルヘルス通信

2022年10月7日

96号 「からだとこころの土台~天気,季節,食~」

本号特集「からだとこころの土台~天気,季節,食~」<メンタルヘルス通信 No.96>

東京ではここ数日、雨冷えが続き、秋もいよいよ深まってきましたが、
今号のメンタルヘルス通信は、
私たちのからだとこころの土台となり、またその健康を左右する、
“天気”や”季節”、そして”食”について取り上げます。

冬に近づくこの時期を健やかに過ごすためのヒントも、ぜひご活用ください!

メンタルヘルス通信は、イントラネットへの掲載やプリントアウトしての配布など、
従業員の皆様へのメンタルヘルス啓発活動などにご活用ください。

【PDF版】
メンタルヘルス通信_第96号(PDF)

【テキスト版】
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NO.96 からだとこころの土台~天気,季節,食~
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とりわけ暑かった今夏、「暑さ寒さも彼岸まで」という先人らがつちかってきた知恵がくつがえされるかのように、地球温暖化が進んできていることを実感しました。

そのような中、台風は猛威をふるい、台風の接近を知らせるように私たちは「頭が痛い」「なんかモヤっとする」「元気が出ないような」などと、天気からも心身に影響を受けて生きています。

今号では、天気や季節、そして食など、私たちの心身の土台となり、また影響を与えているものについて取り上げます。

肥満も気象病「天高く馬肥ゆる秋」日本での気象上の秋の特徴としては、地面が冷え始めるため大気中の対流活動が衰え、また台風や長雨の後など地面が湿っていてホコリが立ちにくくなります。
そこへ大陸(ユーラシア)からの移動性高気圧の影響で乾燥化が強まり、空気が冴え渡るようになり、空の青さが増して見えます。

実際の測定でも、秋の空の青さは春よりも濃いことがわかっており、まさに「天高く」見える空の青さは特徴のひとつです。
秋の空気は1年のうちでもっともすがすがしく、体感的にも暑からず寒からずのちょうどいい陽気であり、また収穫の秋には新鮮な果物はじめ食べ物がおいしい頃合いでもあります。

こうして、暑さで夏バテしていたかのような身体も回復に向かう食欲の秋となり、馬のみならず人も「肥ゆる」季節ともいえ、肥満も一種の気象病とも言われています。(肥満=病気ではありません)

<<メランコリーな気分になりやすい>>

また、冬に近づくにつれ注意したいのは「うつ病」です。秋から冬にかけては昼が次第に薄暗くかつ短くなり、メランコリーな気分になりやすい傾向もあります。
冬はうつ病にかかる人が多く、「冬季うつ病」などと言われますが、一般的には女性が多い傾向です。
この時期の太陽光の量とも関係があるようです。
ほかに、秋の気象病には、胃腸障害、喘息、冷え性、ハウスダストアレルギー、胆石症などがあります。

胃腸障害は食欲の秋での多食多飲、胆石症は脂っこい食べ物が多くなることと関係があります。喘息は彼岸頃の気温低下、冷え性は放射冷却による初冬のような寒さ、ハウスダストは高温乾燥などによる花粉やダストの飛散しやすさが影響しています。

昨今、都市部では布団を干すのがはばかられることもありますが、空気が乾燥する10月は布団の虫干しの好機です。
掃除機でダニを吸い取ってから太陽光に当てるのがよいですが、ハウスダストアレルギー対策にもなります。

<<「いい加減」の食>>

最後に、日常的過ぎて、意識しないと忘れがちな点として、食の重要性があります。私たちの身体は日々食べるものから出来ていて、心はその身体に宿っています。

食は心身の健康を大きく左右する土台です。食を考える場合、ポイントはいくつもあります。

【食を考えるポイント】
1 何を食べるか?(食材、栄養素、旬)

2 どのように調理するか?(調理)

3 どのような組み合わせで食べるか?(バランス)
4 いつ食べるか?(食べる時間、生活リズム、季節、年齢)
5 どのように食べるか?(咀嚼、食べる順番)
6 誰とどんな風に食べるか?(食卓)

7 どの位食べるか?(腹八分目)

簡単にまとめると、「その時々(旬)に近場でとれた信頼できる生産者の安全・安心な食材(素材)を中心に、バランスよく、化学調味料に頼り過ぎずに、素材を活かして調理したものを、不規則な時間にではなく(生活リズムを整え)、平穏な状況で、食の恵みに感謝しつつ、よく咀嚼(噛んで)して、腹八分目を心がけて食べる」とよいでしょう。

逆に注意を要するのは、孤食とコ食。孤食は孤独・孤立した食卓であり、コ食とはコンビニ食(コンビニに限らず、添加物過多のものやジャンクフード等)です。
ともにそればかりとなる場合には注意した方がよいでしょう。

また、食に関して筆者がもう一つ大事だと考えているのは、おおらかさ。
筆者自身、食へのこだわりは大変に強いのですが、そのこだわりへのこだわりが過ぎてしまい、逆に心が不健康になってしまうことがありました。
このため、心持ちも「いい加減」にしておくことがオススメです。

新行内勝善(精神保健福祉士、公認心理師)


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