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メンタルヘルス通信

2022年7月26日

95号 「ポジティブストレスマインドセット」

本号特集「ポジティブストレスマインドセット」<メンタルヘルス通信 No.95>

今回のメンタルヘルス通信は、「ストレス=悪者」は当然の常識、とお考えの方にぜひお届けしたいお話です。
ストレスと上手く付き合う考え方もご紹介していますので、ぜひお役立てください!

メンタルヘルス通信は、イントラネットへの掲載やプリントアウトしての配布など、
従業員の皆様へのメンタルヘルス啓発活動などにご活用ください。

【PDF版】
メンタルヘルス通信_第95号(PDF)

【テキスト版】
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NO.95 ポジティブストレスマインドセット
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「ストレスはできれば無い方がいい」とは誰しもが願うことでしょう。
「ストレスフリー」という言葉を聞くと、何かそこは天国か、といったようなイメージさえ湧いてきます。

ただし、逆に、【ストレスを悪者だと思うことによって、ストレスが増えてしまうことがある】としたら、どうでしょうか?

今回は、ストレスや心の健康に関連して、一般には当たり前と思われているであろうことで、少し見直してみた方がいいことを取り上げます。

1.ストレスマインドセット
ストレスマインドセットとは、そもそも私たちはストレスをどのように捉えているか、ということ。
例えば、皆さんは、ストレスに関して、下記のA・Bにそれぞれついては、どのくらい賛同しますか?

A)ストレスは悪影響があり、避けるべきだ
B)ストレスは良い影響があり、利用すべきだ

おそらくAに賛同する方が多いのではないでしょうか。
筆者が先日ある大学 1 年生に実施したアンケートでは、Aは 67%が賛同、Bは33%が賛同という結果でした。(なお、このA・Bそれぞれ については、正しい場合もあればそうでない場合もあり、一概に YES/NO と言えるものではないでしょう。)

なお、Aはストレスをネガティブに捉えているネガティブストレスマインドセット、一方Bはポジティブに捉えているポジティブストレスマインドセットを示すものです。

2.パフォーマンス、人生への満足度

マインドセットが私たちにどのような影響を与えているかについて、ある研究をご紹介します。
研究では、「ストレスが自分を強くする」というマインドセットを持つ者ほど、ストレス反応や心身への悪影響が低く、楽観的で曖昧さへの耐性が高く、仕事でのパフォーマンスも良く、人生への満足度が高いということが確認されています。 (Crum, Salovey, & Achor(2013))

なお、「ストレスが自分を強くする」と似たような言葉を、かの哲学者ニーチェも残しています。
ニーチェは、「私を殺さないものは全て私を強くする」などと言ったそうですが、これは究極のポジティブストレスマインドセットといえるでしょう。
また、プロ野球の原辰徳監督が、プロ入りの際に 父から贈られた「毒をも栄養にせよ」という言葉にも、共通点があるように思います。

3.ネガティブとポジティブと両面で

ネガティブなストレスマインドセットばかりとなると、ストレスはさらに増大してしまいかねません。
ポジティブと両面で持ち合わせておけるとよいでしょう。
ストレスマインドセットは、固定的・不変的な 信念ではないことも研究でわかってきています。
ストレスマインドセットに関する心理教育プログ ラムが、短時間かつ単発のものであった場合でも、 ストレスマインドセットの変容に一定の効果を与える事がわかってきています。

ストレスマインドセットの変容を促し、メンタルヘルスを向上するために研修を行うのもよいでしょう。
東京メンタルヘルスでは、ストレスやメンタルヘルスにかかる様々な研修プログラムがあります。

よろしければ是非ご活用ください。

新行内勝善(精神保健福祉士、公認心理師)


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