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メンタルヘルス通信

2016年10月17日

74号、75号 「高ストレス者へのフォローと対策」

メンタルヘルス通信No.74,No.75のお知らせ

 

前号から緊急特集として、ストレスチェック特集「高ストレス者へのフォローと
対策」を5回連続してお伝えしておりますが、今号は2・3回目を続けてお伝え致します。

 
メンタルヘルス通信は、イントラネットへの掲載やプリントアウトしての配布など、
従業員の皆様へのメンタルヘルス啓発活動などにご活用ください。

 
【PDF版】
メンタルヘルス通信 No.74,No.75(PDF)

【テキスト版】
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NO.74 ストレスチェック特集 「高ストレス者へのフォローと対策」
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特集2回目の今回は、「高ストレス者とは?」です。ご参考にしてください。

高ストレス者とは?
ストレスチェック制度では、「自覚症状が高い者や、 自覚症状が一定程度あり、ストレスの原因や周囲のサ ポートの状況が著しく悪い者」を高ストレス者として 選定します。そして、高ストレス者であって、医師による面接指 導が必要と評価された労働者は、面接指導につなぎフォローしていきます。


ストレスチェックの3領域
国が推奨する職業性ストレス簡易調査票では、質問 は全57項目あります。
各項目は、3つの領域、「仕事のストレス要因」「心身のストレス反応」「周囲のサ ポート」に大別されます。

【ストレスチェックの3領域】

A.仕事のストレス要因 ストレスの原因に関する質問項目
B.心身のストレス反応 ストレスによる心身の自覚症状
に関する質問項目
C.周囲のサポート 労働者に対する周囲のサポート
に関する質問項目

高ストレス者の選定は、それぞれの領域における評価点数を考慮して決めます。

高ストレス者の選定方法
高ストレス者の選定方法は、以下の 2 通りです。

(1)「心身のストレス反応」の評価点数が高い者
(2)「心身のストレス反応」の評価点数の合計が一定以 上の者であって、かつ、「仕事のストレス要因」及び 「周囲のサポート」の評価点数の合計が著しく高い者

すなわち、(1)は現在ストレスによる症状が顕著 に出ている者、(2)は現在ある程度のストレスによ る症状が出ており、今後さらに不調化するリスクが高い者、ということです。
なお、厚生労働省のストレスチェックマニュアルで は、これら(1)及び(2)に該当する高ストレス者の割合を10%程度とする基準が示されています。
ただし、この割合は、それぞれの事業場の状況により変更することができます。

カウンセラーによる補足的面談実施
また、高ストレス者選定は、上記の方法だけではあ りません。
厚労省のマニュアルでは、「医師、保健師、看護師 若しくは精神保健福祉士又は産業カウンセラー若しくは臨床心理士等の心理職が労働者に面談を行いその結果を参考として選定する方法も考えられる」とあ ります。
つまり、実施者からの指名および指示のもとに、カウンセラーらが補足的に面談を行い、評価点数に加え、 その面談結果も参考として高ストレス者を選定する 方法もあるのです。

東京メンタルヘルス 新行内勝善(精神保健福祉士)

●関連情報
・当社ストレスチェックサービスは、こちら をご参照ください。
・「ストレスチェック特集 ~高ストレス者対応やその発生予防~」は、
  こちら をご参照ください。

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NO.75 ストレスチェック特集 「高ストレス者へのフォローと対策」
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3 )高ストレス者へのフォロー

5 回連続のストレスチェック特集、3 回目にあたる 今回は、実際に高ストレス者が生じた場合、どのよう にフォローしていったらよいのか、また、そのために どういった体制を整えるとよいのかについて、まとめ ています。どうぞご参考にしてください。
ストレスチェックでは、高ストレス者へのフォロー が大変重要なポイントです。

高ストレス者が生じた場合の対応方法
高ストレス者に対しては、すみやかに「医師による面 接指導」を勧奨します。
そして、面接指導の申出があった高ストレス者に、 面接指導を実施します。
面接指導では、勤務状況、心 理的負担の程度、心身の状況などを確認し、ストレス 対処方法の指導などを行います。
また必要に応じて、専門機関への受診を勧めたり、 紹介も行います。

※なお、高ストレス者が面接指導を申し出るか否かにかかわらず、 事業者􏰁高ストレス者に対して不利益となる対応をすることは禁じられています。
同様に、面接指導の結果によって不利益となる 対応をすることも禁じられています。

相談窓口を広く整備
「医師による面接指導の勧奨」 を行っても、実際には全ての高ス トレス者から面接指導の申出があ るということはないでしょう。
しかし申出がなく、さらなる勧奨が 難しい場合でも、安全配慮義務上、そのまま放置することの無いよう、対策を講ずること が求められます。
こうしたリーガルリスクをはじめと した、メンタルヘルス対策のリスクマネジメントの観 点からも、高ストレス者が相談しやすい体制を整備し ておくことが重要です。

このため、高ストレス者には、「医師による面接指 導の勧奨」と合わせて、カウンセラーによる相談窓口 も案内していきましょう。
ひとくちに相談窓口といっても、公的な相談窓口か ら民間での相談専門機関まで、さまざまあります。相 談窓口を整備するといっても、何をポイントに整備し ていけばよいのか迷うところでしょう。

【相談窓口整備のポイント】
相談窓口は、こういったポイントを押さえて整備し ていきましょう。

休職と職場復帰支援の体制を整える
医師による面接指導を行った結果、医療機関受診と なるケースも出てきます。
そして受診の結果、継続的 な通院による服薬治療が必要な場合もあれば、「○ヶ 月の休職を要する」といった診断が出る場合もありま す。
また、面接指導後の就業上の措置として、「要休 業」の意見書が医師から提出されることもあるでしょう。
診断により休職となった場合、休職中はカウンセラ ーによる相談サポートを、休職後は職場復帰のための 支援を行っていきましょう。
職場復帰支援では、再発防止のた めにより専門的なサポートも必要 となりますので、復職トレーニング を専門に行っている医療機関や相談機関と協力していくとよいでし ょう。

高ストレス者へのフォローを社内教育
高ストレス者への対応、特に通院中や休職中、職場 復帰後における対応には、職場でのより一層の配慮が 求められます。
職場での対応については、特に管理監督者層を中心 とした社内教育を実施していくことが重要です。外部 のメンタルヘルス専門家講師を呼び、社内教育をしっ かりと進めていきましょう。
東京メンタルヘルス 新行内勝善(精神保健福祉士)
ストレスチェック特集「高 ストレス者 へのフォローと対 策 」
(次号) 4 高ストレス者を減らすための対策(前編)
1 労働者からみて相談しやすいか?
2 メンタルヘルス専門のカウンセラーが十分にいる か?
3 面談、電話、ネットといった多チャンネルでの相 談に対応できるか?
4 カウンセラーと会社が連携していくことができる か?


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