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メンタルヘルス通信

2016年11月1日

76号、77号 「高ストレス者へのフォローと対策」

メンタルヘルス通信No.76,No.77のお知らせ

 

 緊急特集として、ストレスチェック特集「高ストレス者へのフォローと対策」を
5回連載してお伝えしておりますが、最終号となる今号では、4回目「高ストレス
者を減らすための対策(前編)」・5回目「同(後編)」を連続してお伝え致します。

 
 メンタルヘルス通信は、イントラネットへの掲載やプリントアウトしての配布など、
従業員の皆様へのメンタルヘルス啓発活動などにご活用ください。

 
【PDF版】
メンタルヘルス通信No.76,No.77(PDF)

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NO.76 ストレスチェック特集 「高ストレス者へのフォローと対策」
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4) 高ストレス者を減らすための対策(前編)

5回連続のストレスチェック特集、今回と次回(4-5 回目)は、「高ストレス者を減らすための対策」を前編・後編の2回に分けてお伝えします。
高ストレス者を減らすことは、うつ病などメンタル ヘルスの不調予防、疾病や事故などのリスクマネジメントのみならず、生産性アップ、離職予防、ロイヤルティ(*)向上、などとも密接に関わってきます。
是非ご参考にして、お役立てください。
*ロイヤルティ(loyalty):会社に対する忠誠心・信頼性

高ストレス者を減らすために
前回までは、高ストレス者へのフォローに関してお 伝えしてきました。
今回は、メンタルヘルス対策とし てさらに踏み込み、高ストレス者を減らすには、どのようなことをしていったらよいのか、お伝えしていきます。

【ストレスチェック制度の3つの柱】

(1)ストレスチェックの結果から、ひとりひとりが自身のストレス 状況に気づき、ストレス対処していく。 (主目的)

【一次予防】 【セルフケア】
(2)高ストレス者を早期に発見し、医師による面接指導につなぐ などのフォローをしていく。 (副次的)

【二次予防】 【事業場内産業保健スタッフによるケア】 【事業場外資源によるケア】
(3)集団分析結果をもとに、職場環境を改善し、メンタルヘル ス不調を予防 【一次予防】 【ラインケア】

下図の色を付けた部分は、ストレスチェック制度と直接関わる部分です。
一次予防 二次予防 三次予防
未然防止
セルフラインケア
早期発見・早期対処 治療、回復、再発防止
(4つのケア) 事業場内産業保健スタッフによるケア
事業場外資源によるケア

エビデンスに基づき対策を立てて実行!
高ストレス者を減らすための対策をたてる際、その エビデンス(根拠)とすべきなのが、集団分析結果です。
実は、今回のストレスチェック制度の重要な側面 が、ストレスチェック結果(事実)に基づくメンタル ヘルス対策の実行でもあるのです。
エビデンスに基づいて、メンタルヘルス対策を立てて実行していくことで、効果的に職場環境を改善し、 高ストレス者を削減していくことができます。

集団分析とコンサルテーション
集団分析とは、ストレスチェック結果を部・課など の一定の集団ごとに集計して、当該集団の特徴や傾向 を分析するものです。
ここで鍵となるのが、集団分析結果から、何を見て、 どのように解釈して、どのような対策を立てていくか ということです。
そのため、集団分析結果をもとに、専門家からの意見 やアドバイスを交えて、組織の特徴や問題点などを検 討し、効果的にメンタルヘルス対策を実行していきま しょう。

従業員満足度調査
もちろん、ストレ スチェック結果だけではなく、さらに職場状況をリサーチし た上で、メンタルヘルス対策を立てていく方法もあります。
一般的なもので は、『従業員満足度調 査』があります。
『従業員満足度調査』
マズローの「欲求5段階説」とハーツバーグの「動機付 け・要因論」を理論的背景に開発。
職場の物理的な労働環境、給与・福利厚生などの労働 条件、働きやすさ、会社の将来性、人間関係など、71 項目を調査するツール。
離職予防やコンプライアンス違反のリスクマネメントなど、活用範囲は広い。 (開発:東京メンタルヘルス)
ストレスチェックの集団分析と、従業員満足度調査 の結果を合わせて検討することで、さらに効果的なメ ンタルヘルス対策を立てることができます。
東京メンタルヘルス 新行内勝善(精神保健福祉士)

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NO.77 ストレスチェック特集 「高ストレス者へのフォローと対策」
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5) 高ストレス者を減らすための対策(後編)

5回連続のストレスチェック特集、最終回の今号で は、前回に引き続き、「高ストレス者を減らすための 対策(後編)」です。
前回は、高ストレス者を減らすためには、集団分析 を行い、その結果に基づいて対策を立て、取り組んで いくことが、効果的である、ということをお伝えしました。
今回は、実際にどういった対策を講じることが望ましいかについてお伝えします。

できるところから、最適の方法で職場環境を改善し、高ストレス者を削減するためのメンタルヘルス対策は大きく分けて、「メンタルヘル ス教育」と「メンタルヘルス相談」の2つです。
教育と相談の2つですが、方法やバリエーションは豊富にあります。
このため、信頼できるメンタルヘルスプランナーと じっくりと相談しつつ、自社のさまざまな実状に応じ て、できるところから、最も適した方法で進めていくのがよいでしょう。

メンタルヘルス教育研修
教育研修は、集 合形式で、短時間 で行う効率的な 「メンタルヘル ス教育」です。
基本や概論的な内容であれば、50人以上の多人数での実施も可能です。
具体的なテーマについて、知識やノウハウをしっかりと身につけるようにということであれば、多くとも20人程度の人数に絞って行なうのがよいでしょう。
プランナーとしっかり相談しながら、どんな教育研修を行うのがよいか詳細を詰めていきます。
たとえば、組織全体でストレスが多いようであれば、まずはセルフケア研修で、自己分析を行なったり、すぐにできるストレス対処法をいくつか学ぶのがよいでしょう。
集団分析の結果から、主任や係長など、比較的若い層のリーダー職のストレス状況が芳しくないようであれば、まずはその層から教育研修を実施するのも一案です。

カウンセラー派遣、社外相談窓口
教育研修と、もうひとつの柱が「メンタルヘルス相談」です。
相談にもさまざまなやり方、バリエーショ ンがあります。
相談といった場合、まずは社内に相談室を作るか、 外部の相談機関と契約するか、よく検討しなければな りません。
社内の相談室にも、社外の相談機関にもメ リット・デメリットがありますので、両方設置するの が最も理想的といえるでしょう。

【相談室は、社内か? 外部か?】

社内相談室
社内であるために相談内容を理解してもらいやすい一方で、社内相談室に心理的に行きにくいというデメリットもある。

外部の相談専門 機関と契約
外部であるため他人に知られずに相談 に行ける一方で、会社実情をカウンセラーが把握しにくい一面もある。

集団分析の結果を見て、健康リスクが全国平均と比 べて高く、職場内でのサポートも乏しい状況であれば、 相談の場を設けることは喫緊の課題となるでしょう。
相談できるカウンセラーが豊富にいて、相談のチャ ンネル(対面、電話、メール、TV 電話、チャット)が 多い方が、相談の利用率もあがり、効果もあがりやすくなります。

日々のコンディション管理
ここにきて、メンタル ヘルス対策のための新たなツールも出てきています。
実は、ストレスチェック制度の最大の懸念点は、1年に 1 度のチェックに過ぎないということです。
このストレスチェック の懸念点を克服するために生まれたのが、日々のコン ディションを記録していくツールです。
具体的には、日々の気分をお天気マークをタッチして記録していき(上図参照)、自らの健康管理に役立 てたり、部下の見守りにも活用できるというものです。

東京メンタルヘルス 新行内勝善(精神保健福祉士)

●関連情報
・当社ストレスチェックサービスは、こちら をご参照ください。
・「ストレスチェック特集 ~高ストレス者対応やその発生予防~」は、
  こちら をご参照ください。


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