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メンタルヘルス通信
AIにこころの相談をする際の9つの注意点


【記事の要約】
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♦AIにこころの相談をする際は、一般の生成AIではなくこころのケアの専門家がカスタマイズしたものを使うのが安全。その上で、心からの共感の欠如や誤情報、緊急対応不可といった限界を理解した上で行うことが重要。
- ♦AIは軽度の悩みや思考整理に適していますが、重篤・複雑な相談は状況を悪化させるリスクがあるため、専門のカウンセラーを頼るべき。
- ♦自分の心の状態に合わせて相談先を吟味し、迷った際は専門機関などに相談先を案内してもらうのが最も安全な相談活用法
1.AIをこころの相談に使う人は多いが、心配する声もまた多い
今年4月に発行の前々号「メンタルヘルス通信」、No.124【対話型AIは「心の支え」になりうるのか?】に対しては、予想以上に大きな反響をいただきました、ありがとうございます。反響を見てみても、AIをこころの相談に使っている方々はやはり多いのかと思われました。
筆者も関わっているこころの相談用にカスタマイズした対話型AI(*)についての利用者をみると、利用者の約4割が10代であり、若年層ほど利用が多い状況です。若年層が多いこともあり、対話型AIのこころの相談利用については、
「そのまま使って大丈夫か? リスクは無いのか?」
といった心配する声も耳に入ってきています。
一方、筆者の同僚カウンセラーからは、特に心の病で通院している患者さんの中には、ChatGPTやGeminiなど、一般的な生成AIに相談している方が多いという声もお聞きしています。なおかつ、そういった方は生成AIに相談して、こじらせてしまっている場合も多いという印象も聞いています。
2.こころの相談をAIにする際の注意点が必要なのでは
カウンセラーの責務として、こころの相談をAIにする際の注意点などを、一般の方々に対してわかりやすくまとめていくことも必要ではないかと考えています。
このため、本記事では、執筆時点での見解となりますが、一般の皆さんがAIをこころの相談に使ってもなるべく安全に行えるよう、AIの特徴や注意点等のポイントをまとめてみました。少しでもお役に立てましたら幸いです。
3.こころの相談に、一般の生成AIをそのまま使うのはおすすめできない
最も大切と思われることからお伝えします。現時点ではとなりますが、一般の生成AIを、そのままこころの相談に使うことには、危うさが少なくありません。このため、残念ながらおすすめはできません。
人のカウンセラーにではなく、AIにこころの相談をする際には、こころの相談用にこころのケアの専門家がカスタマイズした対話型AIを使うのが最も安全です。
以下、その理由となる点を中心にご説明していきます。
4.AIを相談に使うメリットとリスク
AIを相談に使うメリットとリスク、そのポイントは以下の通りです。(なお、相談の際のプロンプトや、個人でのカスタマイズ次第では、以下にそのまま該当しない場合があります。)
<AIに相談するメリット>
- ①24時間いつでも即答
夜中でも早朝でも待ち時間ゼロで相談でき、返信も即答。 - ②絶対に否定されない
AIは感情的に怒ったりしない、相談者を批判することもない。 - ③匿名性と安心感
人相手ではないため、相談の際の「恥ずかしさ」などの心理的ハードルは弱まり、言いにくさが少なくなる。 - ④思考の整理に役立つ
書き出すだけでも、頭がすっきりしたり、整理されてくる。
<AIに相談する限界とリスク>
- ①本当の共感はできない
AIは感情を持っていない。心からの寄り添いや心の傷の癒やしは得られない。 - ②誤ったアドバイスや情報のリスク
医学的・心理学的に100%正しい判断ができるわけではない。間違った情報を回答することもある。 - ③危機時の介入や保護ができない
非常に高リスクの相談(自傷・他害等)、一刻を争う危機的状況に対して、至急かつ適切な介入や保護はできない。
5.AIでの相談でよいか? 専門のカウンセラーに相談するのがよいか?
上記のメリットと限界・リスクから考えると、「限界・リスク」にあげた点が問題にならない場合に限り、そのままAIに相談してもリスクは少なめと言えます。
つまり、下記の場合には、AIに相談しても比較的安全です。
- ①本当に共感されなくても、心から寄り添ってもらわなくても大丈夫。心の傷が癒されなくても問題ない、といった相談の場合。
- ②誤ったアドバイスや情報がありうるのはわかっている。あったとしても問題ない、とわきまえた上での相談の場合。
- ③非常に高リスクの自傷・他害などのある危機的状況ではない相談の場合。
すなわち、軽めの悩み事や相談事であり、なおかつ、AIから満足な返答がなくても平気といった精神的健康度が高い方の場合に限られます。そういった、いわば軽めの相談であれば、AIをこころの相談に使うことには、リスクは少ないと考えられます。
他方、困りごと悩み事が重篤な方ほど、AIに相談するのはリスクが高くなると考えた方がよいでしょう。このため、本記事冒頭にあげた筆者の同僚カウンセラーが心配しているように、心の病で通院中の患者さんなどがAIに相談してこじらせるといったことは、十分にありえる話です。
6.AIは定型相談向き、個別性の高い複雑な相談はカウンセラーの方が
そもそも現在の一般的なAIは、主にネット上に蓄積された膨大なデジタル化された情報知をまとめていきます。そしてそこからかなりの確率で信頼できると思われるような、つまり一般的に正しいと思われる見解を回答してきます。
このため、AIは標準的な相談事に対して、標準的な回答を返すことには優れていると言えます。比較的定型の相談事に対して、比較的定型の回答をする傾向があるとも言えます。
したがって、こころの相談のように、人それぞれの悩みであるような、個別性が高く、また複雑に入り組んだ相談事に対して、個々人に見合った効果的な応答をすることにはAIは適しているとは言えません。
7.相談先をしっかりと吟味しよう
もうひとつ重要な点があります。それは相談先を吟味すること。AIへの相談であっても、人に相談であっても、相談先の吟味はともに重要。どのようなところに相談するのが最も適しているのかを、しっかりと吟味できることがポイントになります。
AIにこころの相談をするのを全否定はしません。ちょっとしたことであれば身近にある一般的なAIに相談するのも、選択肢としてはもちろんありです。その際には、本記事に書いたAIの特徴や傾向をしっかりと踏まえた上で、割り切って相談するようにしましょう。そして、AIであってもよりリスクを抑えて相談したいという場合には、こころの相談に特化したAIに相談するのがよいでしょう。
一方で、相談先のことはよく知らないといったことも少なからずあるかと思います。そういった際には、まずはその道に詳しいコンシェルジュ的な方に相談してみましょう。「こういった相談はどこにしたらいいですか?」などと相談先について相談してみましょう。
それは例えば、学校に通う子どもたちであれば、こころの相談のコンシェルジュたりうる、養護の先生・スクールカウンセラーなどに相談するのがよいでしょう。もちろん弊社、東京メンタルヘルスは、メンタルヘルスに関しての専門機関ですので、どうしたらいいかわからない場合など、いつでも何なりとお尋ねいただければと思います。詳しくご案内します。
AIにこころの相談をする際の9つの注意点
- 1.年齢制限に注意
主要なAIは、13歳未満は利用不可、13~17歳の利用には保護者の同意が必要 - 2.個人情報は入力しない
入力した情報はAIの学習データとして再利用される設定になっている場合がある - 3.こころの相談には、AIをそのまま使うことはおすすめできない
こころの相談に特化した対話型AIを使うのが安全 - 4.AIは比較的軽めの相談向き、専門的なことや個別性の高いことは専門家へ
心の病や治療に関することなど専門的な相談や、個別性の高い相談には向かない - 5.AIは人ではないし、心も無い。心からの共感はできない
心からの共感を求めている場合には、人のカウンセラーに相談を - 6.広く情報が欲しいならAI、話を聴いて欲しいならカウンセラーへ
AIは広く一般的に正しそうな情報のまとめと出力(回答)に長けているが、こころの話を聴いてもらうのには向いていない - 7.AIが全て正しい回答をするわけではない、誤ったアドバイスや情報もある
決してうのみにしないで、必要な際は専門家に確認・相談を - 8.自傷・他害など危機的状況にあるとき、AIに助けを求めても、AIは介入や保護はしてくれない。
周囲の頼れる人や専門家に連絡・相談を - 9.誰にどのように相談するのが適切か考えてから相談を
誰にどうやって相談したらいいかわからないときは、カウンセラーに相談を
(2026.7.15 新行内勝善)*【AI相談(こころのほっとチャット)】:NPO東京メンタルヘルス・スクエアの「こころのほっとチャット」のAI版。<AI相談に関しての参考ページ>
- 従業員の「見えない悩み」の7割は恋愛・夫婦─AIチャット相談832件の分析から見えた、職場メンタルヘルスの死角
— WorkMind 2026年4月17日 東京メンタルヘルス株式会社 SMB事業部 - 従業員の『見えない悩み』はAIに集まる─関係性の悩みが83.7%・夜20時台にピーク(2026年4月分析)
— WorkMind 2026年5月7日 東京メンタルヘルス株式会社 SMB事業部 - AIに心を預ける人が増えている─学術調査・自治体・医療現場が同時に示す「依存」のサイン
— WorkMind 2026年7月7日 東京メンタルヘルス株式会社 SMB事業部 - 従業員の『見えない不調』は量から質へ─AIチャット相談、心身の健康の相談が67%増(2026年6月分析)
— WorkMind 2026年7月4日 東京メンタルヘルス株式会社 SMB事業部
執筆者:新行内勝善
東京メンタルヘルス株式会社 取締役(教育事業担当)/リワークサポートセンター長/メンタルヘルス通信編集長
NPO法人 東京メンタルヘルス・スクエア 副理事長/カウンセリングセンター長
精神保健福祉士,公認心理師,ハラスメント防止コンサルタント,SNSカウンセラー,森林セラピスト【主な著書】
- 鳥飼,新行内共編著『自殺対策の新たな取り組み SNS相談の実際と法律問題』誠信書房,2024
- 新行内『対面ではつながることが難しい人に寄り添うオンライン(SNS)相談』月刊福祉,2022年2月号特集
- 新行内『今こそ知ろう!SNS相談』月刊学校教育相談(ほんの森出版)2020年4月~2021年3月連載
- 分担執筆『ここがコツ!実践カウンセリングのエッセンス』日本文化科学社,2009
(関連:当社AI相談のご案内)
メンタルヘルス相談特化の
対話型AIチャット相談記事と関連して、さらにメンタルヘルス相談に特化した対話型AIチャット相談の提供について、ご案内します。
昨年2025年より、当社では、AIのメリットとリスクを踏まえて、安全安心に利用できる対話型AIチャット相談を提供しています。
下記にそれぞれのサービスについてのページをあげています。よろしければですが、各ページをご参照いただいたり、またお気軽にお問合せもいただければと思います。
メンタルヘルス相談に特化した対話型AIチャット相談(当社提供)社外相談窓口用「AI相談」
https://t-mental.co.jp/service/outside_consultation
*働く人のメンタルヘルス相談用に設計したものです。こころのほっとチャット(NPO東京メンタルヘルス・スクエア)
https://npo-tms.or.jp/sns/
画面右下の吹き出しより、AIチャット相談ができます。
(月間利用上限数があるため、上限を越えてしまうと、翌月になるまで相談受付停止しています。)
*自殺対策のこころの相談用に設計したものです。恋愛と夫婦の悩み 相談センター
https://sukinahito.jp
ページ下の「おためし相談」のところより、
「AIに相談してみる」をクリックし、LINEに登録の後、LINEより相談できます。
*恋愛や夫婦の悩み相談用に設計したものです。<安心安全なAIチャット相談の設計思想のポイント>
ここでは、当社が安全安心にメンタルヘルス相談ができるように、対話型AIをどのように設計したのかについて、設計思想のポイントをご説明します。
何よりもまず、メンタルヘルス相談の利用者の立場にたった設計です。
例えば、メンタルヘルス相談の利用者は、心身ともに疲労が蓄積したり、深く悩んでいたりする状態であることを大前提としています。当社では、一般的なAIのように一度に多くの選択肢や専門的な情報を提示することはしません。なぜなら、それは利用者の負担になり、逆効果になることがあると考えられるからです。
このため、当社の対話型AIチャット相談では、「情報の多さ」よりも「読みやすさ」や「心理的負担を増やさない文章量」を重視して設計しています。通常は、気持ちと状況の整理(心の整理)を優先して進めます。また、不安を必要以上に高めない言葉選びへの配慮も重視しています。
この間、よくご質問いただいているのは、「ChatGPTとの違いは何?」ということです。そのときお答えしているのは、下記の3つの大きな違いです。
- ①情報セキュリティ:当社AIは相談内容が外部学習に使用されない安全な環境で運用
- ②品質の安定性:メンタルヘルス相談専門の対話設計により、一貫した応答品質を維持
- ③相談後の導線:必要に応じて専門カウンセラーへの接続が可能
これら3つの大きな違いがあり、メンタルヘルス相談を安全安心にできる対話型AIチャット相談を提供しています。