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メンタルヘルス通信

すこやかな夏の過ごし方 ~東洋医学から考える夏の養生~

2024年7月1日
No.109
メンタルヘルス通信 No.109

 

すこやかな夏の過ごし方 ~東洋医学から考える夏の養生~

 7月に入り日差しがだんだん強くなってきました。梅雨が明けるといよいよ本格的な夏がやって来ます。

 今年も猛暑が予想されていますが、暑い時でも元気な毎日を送りたいものです。

 そこで、今月はすこやかな夏の過ごし方についてご紹介します。

夏はどんな季節なの?

 二十四節気でいうと「立夏」から「大暑」の期間が夏とされています。現在の新暦の日付では、5月5日頃から8月8日頃までになります。

 この時期は、力強い太陽に照らされて草木などの植物が最も成長します。また、四季を1日で例えると夏は「昼」にあたります。昼の過ごし方がそのあとの夕方や夜、つまり秋から冬に大きな影響を与えるのです。活動的に過ごしながらエネルギーを上手に発散することがポイントとなります。

汗をかきやすく、体力消耗し疲れやすくなる

 東洋医学では、夏は1年のうちで最も暑く、明るい日差しの中で上に向かうイメージがあります。太陽から受けるエネルギーも強く大きくなるとされています。この時期は、動物や植物も活動的になり気持ちが外へ向きます。その分、汗をかきやすく体力を消耗してどうしても疲れやすくなります

水分補給の注意点

 そこで気をつけたいのが水分の補給です。外にいるときだけではなく、室内にいてもこまめに水分は摂りましょう! 様々な飲み物がありますが、水や麦茶などカフェインが含まれていない飲み物がよいとされています。なぜなら、カフェインには利尿作用があるため体内から水分が排出されてしまい、かえって水分不足になる可能性があるからです。そして、ジュースなどの清涼飲料水は思いがけず糖分が多く含まれているものもありますので摂り過ぎないように気をつけましょう。

 「のどが渇いたな」と感じた時はすでに体内の水分が不足をしている状態だといわれています。そうなる前に上手に水分を補給したいですね!

取り入れてみたい「夏の養生食」

 また、暑い時期はどうしても食欲が落ちてしまうことがありますね。そこでぜひ取り入れてみたいのが「夏の養生食」です。

 まずは、夏が旬といわれる野菜に注目しましょう!

 夏に採れる野菜は水分を多く含んでいるため、活動をして汗として体内から出てしまった水分を補う働きをしてくれます。汗とともに失われがちなミネラルやビタミンなども多く含まれています。たとえば、きゅうりやトマト、なすやオクラなどです。

 中でもトマトはビタミンAやビタミンC、カリウムそして食物繊維などがバランスよく含まれています。食材として使うとその赤い色が食卓をパッと明るくしてくれます。「トマトが赤くなると医者が青くなる」という言葉があるように、栄養がぎゅっと詰まったトマトをぜひ食事に取り入れてはいかがでしょうか。

すこやかな夏の過ごし方 ~東洋医学から考える夏の養生~

夏は「心」に不調が起こりやすい

 そして、東洋医学では夏は「心(しん)」に不調が起こりやすいといわれています。

 「心(しん)」とは、全身に血液を循環させる西洋医学でいう「心臓」の働きの他に意識や精神の活動をコントロールする役目を担っています。つまり、「心(しん)」の働きは私たちが心身ともに健康に過ごすために大変重要だといえます。その「心(しん)」の働きを助けてくれるのは苦みのある食べ物です。苦みといえば代表的な野菜としてゴーヤがありますね。他にもセロリやふき、ゴボウや緑茶にも含まれています。

夏バテをしているときには

 暑い時期はどうしても食欲が落ちてあまり食べられないこともありますね。いわゆる夏バテをしていて胃腸が弱っていることも考えられます。

 そんな時は無理に食べるのではなく、野菜を使ったスープやお味噌汁などを作ってみてはいかがでしょうか。他の方法としてスイカやゴーヤなどを他の野菜や果物とジュースにしてみるのもよいですね。だんだんと胃腸の調子が落ち着いてきたら、スパイスなどを取り入れると食欲増進にもつながるので試してみたいですね。

むくみを解消してくれる食材

 また、この時期はどうしても冷たい食べ物を摂ってしまう機会が多くなります。そうすると、胃腸が冷えて働きが弱くなりむくみの原因となります。そのむくみを解消してくれる食材としてとうもろこしや枝豆、大豆、ハト麦などがあります。こちらも上手にメニューに取り入れたいですね。

 いかかでしたか? ここまで、東洋医学からみた夏の養生についてお話ししました。

ぬるめのお湯で疲労回復。爽やかな雰囲気を演出。

 夏の暑さで身体に負荷がかかり知らないうちに疲れが溜まってきます。もし「疲れたな・・・」と感じたら早めに休息を取りましょう。夏はついシャワーだけで済ませたりしますが、ぬるめのお湯にゆっくり浸かると体内循環がよくなり疲労回復につながりやすくなるといわれています。好きな香りの入浴剤を入れるとバスタイムがより楽しめますね。

 お部屋もこの時期、白やブルー、ミントグリーンなどを使うと爽やかな雰囲気になります。カーテンなど大きなものでなくてもクッションやちょっとした置物などで取り入れても涼しさを演出できるのではないでしょうか。

不可欠な質の良い睡眠

 今回は色々な食材の働きを中心に夏の過ごし方についてお話してきましたが、やはり心身ともに健康でいるにはバランスのとれた食事と質の良い睡眠は不可欠です。私たちの睡眠は浅い眠りのレム睡眠と深い眠りのノンレム睡眠をおよそ90分の周期で繰り返しています。この90分のリズムを4~5回ほど繰り返すとぐっすり眠れた感覚と快適な目覚めを感じられるとされています。寝ているのになかなか疲れが取れない時は、枕やマットレスなどの寝具を見直してみるとよいかもしれません。

 暑い夏を少しでも快適に過ごせるような方法をご紹介させていただきました。なにかひとつでもそのヒントになれば幸いです。

 皆様、どうかすこやかにこの夏をお過ごしください。

すこやかな夏の過ごし方 ~東洋医学から考える夏の養生~

 


執筆者:外山 佳子
東京メンタルヘルス・カウンセラー
産業カウンセラー、日本ハラスメント協会 ハラスメント対策認定アドバイザー・検討委員、スポーツメンタルトレーナー、生活リズムアドバイザー

普段は企業や専門学校および大学等の相談室でカウンセラーとして相談業務や研修に携わっております。
趣味のコーヒーとカフェのことを中心に暮らしの中で感じる様々な想いをSNS(X)にて毎日発信しております。


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