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メンタルヘルス通信 No.84のお知らせ

2017.08.10

先月7月25日、政府は国の自殺対策の指針となる新たな自殺総合対策大綱を閣議決定しました。

今号のメンタルヘルス通信では、この新たな大綱のアウトラインのほか、
「SOSの出し方教育」などの注目ポイントもわかりやすく解説しています。

メンタルヘルス通信は、イントラネットへの掲載やプリントアウトしての配布など、
従業員の皆様へのメンタルヘルス啓発活動などにご活用ください。

【PDF版】
メンタルヘルス通信No.84(PDF)

【テキスト版】
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NO.84  新たな「自殺総合対策大綱」を閣議決定
         『心のホームレス』社会を失くすために
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『心のホームレス』、この言葉は、元ホームレスの方で、ビッグイシュー
の販売員をしていた方から聞いた言葉*です。
       *『ビッグイシュー日本版』VOL.316(2017.8.1)より

その方は、ホーム=心の居場所と定義し、心を休める居場所がないこと
を「心のホームレス」と言いました。

そして今、社会では「心のホームレス」の人が増えているように思う
と。また、優しさや思いやり、そうしたことの積み重ねによって、
心のゆとりが生まれ、心の居場所も確実に増えていくのではないか、
と話していました。

「心のホームレス」社会を失くす、この言葉が目指すところは、
はからずも、今回政府が閣議決定した自殺総合対策大綱の方向性とも
重なります。

<<新たな「自殺総合対策大綱」>>

先月7 月25 日、政府は国の自殺対策の指針となる新たな自殺総合対策
大綱を閣議決定しました。新たな大綱では、

● 地域レベルの実践的な取組の更なる推進
● 若者の自殺対策、勤務問題による自殺対策の更なる推進
● 自殺死亡率を先進諸国の現在の水準まで減少させることを目指し、
平成38年までに平成27年比で30%以上減少させることを目標とする

といったことなどを掲げています。

自殺者は減少傾向にあるものの、「非常事態はまだ続いている」と指摘し、
自殺死亡率(人口10 万人当たりの自殺者数)を今後10 年で30%以上減
らすという数値目標を掲げました。

<<生きることの阻害要因と促進要因>>

新大綱では、自殺対策とは、社会における「生きることの阻害要因」を減
らし、「生きることの促進要因」を増やすことを通じて、社会全体の自殺リ
スクを低下させることであると定義しています。

●生きることの阻害要因:過労、生活困窮、育児や介護疲れ、いじめや孤立等
●生きることの促進要因:自己肯定感、信頼できる人間関係、危機回避能力等

<<長時間労働の解消など多様な対策>>

新大綱ではその他にも、長時間労働の解消や産後うつのケア、性的マイノリ
ティーに対する周囲の理解の促進など、多様な対策を打ち出しています。

【長時間労働の解消】
電通の新入社員による過労自殺問題を受け、長時間労働の解消に向け、問題を
抱えた企業への監督指導を強化。また、職場でのメンタルヘルス対策やパワハ
ラ対策をさらに進めていく。

【産後うつのケア】
健康診断などを通じて、出産間もない女性における心身の状態や生活環境の把
握に努め、育児をサポートする体制を確保する。

【性的マイノリティーに対する周囲の理解促進】
周囲の理解不足がハラスメントにつながる恐れがある。24時間365日無料の
電話相談窓口を設置するほか、教育の場や雇用現場での理解が広がることに努める。

【若者の自殺対策】
学校現場での「SOSの出し方教育」をさらに推進する。

<<援助要請スキルとSNS の活用>>

新たな大綱の中で筆者が特に注目したのは2点です。
一つは、「SOS の出し方教育」の推進です。大綱では、若者の自殺対策の中
で掲げていますが、心理学では、援助要請行動(help-seeling behavior)
と言い、若者だけではなく大人にも共通して必要なことです。

これまでの研究から、「拒絶や無視の恐れ」「自分の無能さの露呈」「援助者に
負う借り」など、援助要請したくてもしにくい理由がいくつかあがってきています。
そういった点を踏まえて、援助要請スキルをあげていく教育をすることは、
日本人には特に重要であると考えています。

もうひとつは、SNS の活用です。文科省でも7月13日に、いじめに悩む子ども
からの相談をSNSで受けられる仕組みをつくろうと、有識者会議での検討を始め
ました。

当社では昨秋より、SNS相談(チャットカウンセリング)サービスを一部先行
実施し、本格展開に向けて準備中ですが、時代に合わせた新たな相談体制づくり
が特に重要であると考えています。

新行内勝善 (精神保健福祉士)

●関連情報
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