メンタルヘルス・コラム

描画療法について

2016.07.28

描画療法の1つに6場面物語構成法というものがあります。
6画面の物語構成法(The Six Parts Story Making(以下, 6PSM))は、イスラエルの心理学者Lahad(1992)によって開発された描画療法で、独自のストレス対処法を見つけ出すことができると考えられています。
6PSMは、画用紙を6分割し、セラピストの教示に従って絵を描きます。各画面には主人公・課題・援助者や援助ツール・困った状況・解決方法・結末を表現させ1つの物語を作り出すというものです。

 

方法
A4の画用紙を6分割に折り目を付けて「A4の画用紙の左上から時計回りに1コマずつ指示に従って絵を描いて、6つの場面を使って1つのお話を作ってもらいましょう」と指示します。1コマずつ教示を行いそれぞれに描画をしてもらいます。
その後、ストーリーを作ってもらい、最後に物語について質問を行います。

 

6PSMは現実の世界の自己を物語に投影させることにより、クライエントの抱える問題を浮き彫りにします。セラピストとその問題を共有してストレス対処法を見つけることを可能にするとLahad(1992)は述べています。
また、自分の抱える問題だけではなく、自分の理想や、現実の状況、自分の特性や行動パターン、援助者の価値など、今まで気づかなかった様々なことが見えてきます。
そして、6PSMは画用紙を6分割することによってクライエントが絵を描くときの負担が少なくなることと、それぞれの場面に順番に描画課題が提示されることにより、クライエントが描画表現をしやすくなるという特徴を持っています。

 

あるストーリーを紹介します。

 

テーマ:うたをうたうひと
初音ミクという歌を歌うバーチャルの女の子がいました。ミクは色々な人が曲を作りそれを歌い、色々な人が聴く、そんな日々を過ごしていました。ある日、ウィルスによる深刻なエラーで歌うことが出来なくなってしまいました。歌を作ってるうちの1人、Aさんは、ミクを歌わせてあげたいという気持ちで、ミクのためにセキュリティソフトを作りエラーを治しました。そして今でもミクは色々な人に歌を届け続けているのでした。

6場面

 

こころの奥やすみっこに隠れていたり、当たり前すぎて言葉にできなかったり、
あなたの表現したいもの、表現したかったものが見れるかもしれません。

 

東京メンタルヘルス 臨床心理士 大串保美

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