梅雨とメンタルヘルス

2016年06月15日

梅雨とは6月(陰暦5月)頃に降りつづく長雨のことである。
関東地方も梅雨に入り、五月雨が降ったり、どんよりと曇り空がつづき湿気が多い。

 

五月雨の「さ」は五月(さつき)、「みだれ」は水垂(みだれ)の意味で、
雨がしずくになって落ちる様や途切れがちに繰り返す様子を表現している。

 

梅雨の語源は、梅の実が熟する頃の雨という説があるが、梅雨は「黴雨」とも書き、
「カビの雨」を意味する。この時期はカビが発生し物が悪くなることに由来しているそうだ。

 

一般的には梅雨時になると気分がすぐれなくなる人が多くなり、抑うつ的になりやすい傾向がある。
梅雨空は当社サービスの「コンケア」にも反映し、「くもり」や「雨」のマークを押す人が多い。

 

しかし一方で、梅雨空を大歓迎する人がいる。太陽アレルギーを持つ人である。
太陽の紫外線に当たると「蕁麻疹」が出てしまい、熱とかゆみを訴える。アレルギーによる血管壁の過敏な反応である。
太陽アレルギーの人たちにとっては恵みの雨であろう。

 

まさに「蓼食う虫も好き好き」ということだろうか。

 

東京メンタルヘルス 所長  武藤清栄

正常性バイアスのリスク~ゴールデンウィークに変えて~

2016年04月18日

担当からゴールデンウィークについて、何か書け、という話しがあった。「あいよ」と安請け合いしたものの、 熊本を中心とする九州地方の地震の最中に、ゴールデンウィークをテーマにすることには気がひける。

 

通常なら、ゴールデンウィークには由布院も黒川温泉も別府も阿蘇連山も多くの観光客で賑わっているはず。
おそらく地元民もそれを見込んでいたであろう。

ゴールデンウィークはキャンセルの電話に対応するどころか、被災者を受け入れる施設として準備をしなければならないのではないか。

おそらく県も国もそのような対策を取るであろう。

 

 

今回の地震は14日の震度7の初震(前震)で、数多くの被災者を出したが、2回目の地震ではさらに多くの犠牲者を出してしまった。

後にこれが本震であった事が気象庁から知らされる。

住民にとっては、初震(前震)が大きかっただけに「これで終わった」「もう大丈夫」と思ったのである。

 

 

この
「もう大丈夫だ・・・」
「あっ電気がついた」
「家に帰ろう」

といった安堵感に伴う過小評価する気持ちが働いたのではないか。

 

 

これを社会心理学では「正常化バイアス(normalcy bias)」と言う。
今回も、ほっとして家に帰り、寝ていた隙に本震に見舞われた人たちが多かった。

 

 

でも、我々は危機的状況の中で自分を防衛し、他人を安心させるために、無意識に「大丈夫だよ」「もう心配しなくていい」と言いきかせてしまうことがあるものだ。

東京メンタルヘルス 代表 武藤清榮

描画療法について

2016年04月12日

描画療法とは、クライエントに絵を描かせることによって心の状態を図ったり、セラピーを試みる技法です。

20世紀の初めころにF.L.グッドイナフが開発した描画法による知能検査(DAM)が、臨床の場において取り入れられ、その後は知能検査に止まらず人格検査としても様々な描画法が研究されて用いられています。現在の代表的な描画法としては、バウム(樹木画)テスト(Koch)、HTP(家・木・人物画)法(Buck)、風景構成法(中井久夫)などがあります。
描画には知能以外にも人格的要素や精神面の状態像が見ることが出来ます。描いた人の感情や思い描いていること、また、普段意識していないことなどが描画として表現されるという特徴を持っています。
実際のカウンセリングでは、描画法を用いることで、クライエントが日常的に意識されていない自分の感情や思いに気づくことができるだけではなく、カウンセラーがクライエントの問題や状態をより深く理解できることになります。クライエントとカウンセラーは描画を通して、問題を共有しクライエントのパーソナリティを明確にして面接を行っていきます。
また、描画によってクライエントは自分自身の気持を表現することで、今まで抑えられていた不快感や不安、恐怖などが浄化され、気持ちが楽になるということも描画法の良い点です。
あるクライエントは、仕事上に悩みを抱えており、自分自身のパーソナリティに問題があるのではないかと相談に来ました。数回面接を受けているうちに、家族のこと、将来のことなども問題として挙げられてきたので、課題描画法を取り入れて見ました。課題に添って絵を描き、描画後にカウンセラーから質問に答えていくプロセスの中で、次第にクライエントは自分自身を振り返り整理していきます。そして、自分の一番の問題は転職するかどうか迷っていること、自分がこれから何をやりたいかということが次第に見えてきました。クライエントは描画によって自分を表現して浄化され、そしてモヤモヤしていたものがはっきしてきたことで、今まで気づかなかったことがわかり気持ちも楽になったようです。
描画法には課題を与えられて描いていく課題描画法と自由に描いていく自由画法があります。小さい子供は自由に描いて貰ったり、また、大人の方も自由画であったり、課題があった方が描きやすかったり、クライエントの状態によって使い分けます。そして、描画法は絵を描くだけではなく、絵を媒体としてクライエントとカウンセラーの関係性を築き、信頼関係を高めることもできます。また、話すことが苦手な方や、 自分の考えていることをうまく表現することが出来ない場合などにも有効です。

 

東京メンタルヘルス 臨床心理士 大串保美http://mentalhealth.jp/counselor_page/other_list#anchor10